真実の10メートル手前 米澤穂信

真実の10メートル手前 米澤穂信

特徴・太刀洗万智を主人公にした短編集 ・後味が......

この作品、はっきり言って米澤作品の中では決して傑作ではないが、かと言って駄作とも言えない、敢えて言うならファンなら買い、という作品です

さよなら妖精』や『王とサーカス』の登場人物で、雑誌記者である太刀洗万智(たちあらい まち)をメインに据え、彼女が事実上探偵役になり事件の真相をその時々の相手役に語っていくスタイルになっています。そして全体的に後味があまり良くない話が中心になっています……

著者はこの太刀洗氏を通じて、記者としてのあり方を執拗に吐露されているのですが、米澤氏のミステリ短編集でそれを読みたいかと聞かれると、まぁ他の現役で記者業をされている方のその手の著書を読めばいいような気がして、あまり読者が求めていない事をされているような気がします。もちろん著者が作品で何をしようが勝手ではありますが

作品として謎解きそのものよりも太刀洗氏が事件をどう捉えているかが焦点になっているように感じ、あまりアクロバティックで鮮やかな解答のあるミステリものを期待しない方がよいかと

私が個人的に気に入ってたのは『正義感』での犯人視点でした。なにかノリノリな感じがしたので

しかし太刀洗さん、気を持たせ過ぎ。もう少しちゃっちゃと真相を話して欲しかったです。私は太刀洗さんをかなり気に入っていますが『さよなら妖精』を読んでないと、人をかなり選ぶキャラクターになっています

↓以外少しネタバレになりますが

亡くなった人の胸に包丁を突き刺さす行為はどんな理由であれ、かなり異常では……

シリーズのファン、米澤さんのシリアス系の作品が好きな方はどうぞ